情熱とギター。
一番何かに熱中できた時期はいつ?と聞かれたら、迷わず高校入学からの半年と言うだろう。
高校に入り軽音楽部に入部して半年間は狂ったようにギターを弾いていた。
自分にはギターの、もっと言えば音楽の才能がない事は当時からよく分かっていた。
だから「上手くなるには普通じゃダメだ」、その一心でギターを練習した。本も読まず、ゲームもせず、ただひたすら。
眠気を飛ばす為にエスタロンモカ錠(カフェインの錠剤)を愛用していたのもこの頃だ。
やがて睡眠時間とカフェイン中毒症状で動悸と汗、手の震えが出てくるようになり、流石にマズいとそれほど練習するのは辞めた。
結局のところ本当にギターに対して本当に、真摯に向き合ったのはこの半年だけだ。
だから今も中途半端な下手くそなギターしか弾けない。それに対しての後悔はない。
けれど、あの時の狂った様な情熱を無性に求めてしまう事がある。あの情熱があれば、何でも出来るのではないか、そう思えるから。
それを続けられるのが努力の天才であり、継続性が大事なのは分かっていたとしても。
若さ故の情熱、その言葉で片付けられないほどの熱に当てられているだけだとしても。
炎は燻ったまま消えていない、そう思いたいのだ。