つれづれなるままに

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嵐は数えることをしないが、運命は一瞬の光でおまえたちを数える。

これは鮎川信夫の「戦友」からの一節。

高校の現文の授業で取り上げられて以来、非常に好きな戦後詩だ。

授業で習ってから著者も忘れていたが、文章に強烈なエネルギーを感じた事を覚えている。

最近になって調べて著者背景などをきっちりと知ると詩の意味合いも味わい深い。

 

最後の「ユダの接吻はいらない あばよ」は鮎川自身の「戦後社会」への決別を表しているのだろうが、そういった意味合いは勿論、この表現自体が好きだ。

メタファーとしてのユダは使い古されているところだが、あの余韻は何とも詩の奥深さを感じさせてくれる。